今回ベトナムへ行った背景には、一枚の写真との出会いがありました。それは、日本鱗翅学会の会誌「やどりが」206号の表紙写真・・・・・標本でしかお目にかかったことのない憧れのエリキノイデスキララシジミが、悔しいくらい美しい生態写真で学会誌の表紙を飾ったのです。撮影者は若手研究者のホープ斉藤さん。撮影地はベトナムでした。
いつかはキララを撮りにベトナムへ・・・・・・そんな思いにかられていたところへ、島根の巨匠・ヨドエさんから声がかかりました。「今回はベトナムへ行ってみましょうよ」・・・・2004年12月のマレーシア以来、毎年一緒に年末旅行に付き合って下さっている巨匠の一声で、それまでの夢が実現へと動き出しました。
そして、その成果が今回の掲載分。
これらの画像は、ベトナムの蝶に精通した何人もの先達からご助言いただいたおかげで撮影できました。ただただ感謝です。
▲エリキノイデスキララシジミ
Poritia erycinoides のオス。 快晴時は午前8〜9時、曇天時は午前9〜10時に占有行動が観察された。―父撮影 2008年12月28日 Dambri, Lam Dong, VIETNAM
▲エリキノイデスキララシジミ
Poritia erycinoides のメス。白い裏面は被写体として物足りないが、逆光で見ると表面の橙色紋が透けて魅力的。翅表で輝く小さな青色斑も美しい。 ―父撮影 2008年12月27日 Dambri, Lam Dong, VIETNAM
▲黒いタイプのオス。明るい個体とは生態面でも差異があるというが、現時点では暫定的に同種の2型とされている。 ―父撮影 2008年12月26日 Dambri, Lam Dong, VIETNAM
▲明るいタイプのオス ―父撮影 2008年12月27日 Dambri, Lam Dong, VIETNAM
▲交尾。雨上がりとなったダンブリ2日目の朝、次々と5組の交尾が目の前で成立した。同地では5日間にわたって毎日エリキノイデスを撮影したが、交尾が観察できたのはなぜかこの日だけ。 ―父撮影 2008年12月27日 Dambri, Lam Dong, VIETNAM