▲ウスバシロチョウ。上段が普通の個体、下段が白い個体。(5月28日 PENTAX *ist DS2,XR RIKENON 50mm)
▲こうして比較すると翅脈上にも白色鱗粉がのっていることが分かる(5月28日 PENTAX *ist DS2,105mm)
今までブログで紹介してきた白いウスバシロチョウ(
2007年5月26日、
2006年6月6日、
2006年5月28日)は、白化レベル的には2〜3番手のものばかりでした。
青森の”本当に白いウスバシロチョウ”を紹介したいので、標本写真を掲載します。
写真1枚目下段左の個体が我が家保有しているウスバシロチョウの中で最も白い雄で、弟の採集品。下段右の個体が最も白い雌で、僕の採集品です。
ここまで白化が顕著になると、前翅中室や後翅内縁の黒色斑紋が消えてしまうばかりか、翅脈や胴体にまで白色鱗粉がのり、全体が塗りつぶされたようにベッタリと白くなります。
世界で最も白いParnassiusなのだそうです。
Commented by 蝶山人 at 2007/05/30 09:18
関東のウスバシロをみても
前翅外縁・亜外縁の白斑はほぼ全ての個体で残りますし
ましてや前翅中室の斑紋は消えることはありません。
最初見た個体はやや羽化不全で羽がのびていませんでしたが
他にも再現性を持って同様の個体を確認出来たので
これは単なる畸形ではなくて
安定した形質を保持した地域変異であるといえます。
この地域の遺伝子プールの中に
中室斑や亜外縁斑が消失する遺伝子が保存されているのですね?
数からすると劣性遺伝子なのでしょうが
中室斑や亜外縁斑が残る個体との交配実験などで
(例えばコムラサキのクロコムラサキ遺伝子のように)
メンデル式遺伝をするか確認したいものです。
♀を持ち帰られた市川氏の採卵結果が気になるところです。
Commented by
虫林 at 2007/05/30 18:24
白化したウスバシロ(シロウスバ?)は凄いですね。驚きました。
その出現頻度が低いこと、正常個体が混在すること、特定の地域だけに発生することなどからすると、↑の蝶山人さんのおっしゃるように、突然変異ではなく(もともとはそうかもしれませんが)、劣性遺伝形式でのphenotypeのように見受けられます。多分、白馬のギフのイエローバンドなども同様の原因によるものかもしれませんね。
大変に面白い現象です。
Commented by maeda at 2007/05/30 20:59
白いのは翅岳ではありませんね。
腹部も黒い色素が少ないように見えます。
全体的に黒が少なくなっているのですね。遺伝形式なのだと私も思います。
Commented by
ze_ph at 2007/05/30 22:58
蝶山人さん
おっしゃる通り、地域特有の遺伝形質だと考えるのが妥当だと思います。
しかしながら、手放しにメンデル式の劣性遺伝だということはできないのではないか?と思うのが正直なところです。
仮にメンデル式遺伝であったとするなら、その白化レベルの連続的な変化を説明するのが難しいのではないでしょうか。もちろん、(他の1次ないしは2次的因子によって)個体差が生じやすい遺伝形質である可能性や、複数の同義遺伝子が関与している可能性なども十分に考えられますが・・・。
フィールドで見ている限り、一筋縄ではいかないような印象を受けています。
Commented by
ze_ph at 2007/05/30 23:09
虫林さん
中室の黒色斑紋だけを見ても、他の産地と同様な個体から、普通の半分程しかない個体、痕跡程度にしかない個体、完全に消えてしまっている個体・・・と変化は連続的です。これは、後翅内縁や胴体、翅脈上の白色鱗粉の状態を見ても同様のことが言えます。(写真を撮る際には極端な個体を選んで撮影することになるので、この連続的な変化が伝わりにくいかもしれません。)
イエローバンド等では多少の個体差があるとはいったもののある一線で普通個体とはデジタルな区別ができますが、ここのウスバシロチョウではそれができません。
蝶山人さんへの返信コメント内にも書きましたが、この現象の遺伝様式を解明することは容易ではないと思います。
Commented by
ze_ph at 2007/05/30 23:15
maedaさん
翅・胴体など部位に関わらず、鱗粉が総じて白くなります。
何らかの遺伝因子が絡んでいることはおそらく間違いないと思いますが、それがどういった遺伝形式であるのか解明することはかなり難しいのではないかと思います。
Commented by
kenken at 2007/06/01 00:24
本当に白ウスバシロのご披露、有り難うございます。
翅脈上に白い鱗粉が乗るのは想像できましたが、
胴体が白いのは想像をはるかに超えました。
Commented by
ze_ph at 2007/06/03 21:01
kenkenさん
前翅中室や後翅内縁が白くなる産地はここ以外にもあるのですが、翅脈や胴体上にまで白色鱗粉がのるのはこの辺りだけのようです。
そこが青森のウスバシロの凄いところなのだと思います。
それにしても、ここまで来てしまうと本物のシロチョウよりもシロチョウしていますね(笑)
コメントする