Chilasa paradoxaは、憧れの蝶でした。
世界中のマネシアゲハの中でもトップクラスを誇る(と思う)美しさ、擬態の完成度・意外性、どこをとっても素晴らしい!
とはいえ、標本でもそれなりの値段が付く蝶なので、おそらく見るのは無理だろうと思っていました。(東南アジアの蝶は、現地の人件費が安いため希少価値に対して標本の取引価格が安く、たかが500円程度で取引される蝶を見つけることすら、そう簡単ではないんです。)
まして、沢山飛んでいる
Euploea(ツマムラサキマダラの仲間)の中から、これだけ似た蝶をちゃんと区別して見つけ出す自信もありませんでした。
地面にとまって吸水しているのを遠目に見た時は、ただの
Euploeaだと思いました。完全に騙されてます。
でも、撮影しようとして刺激してしまい飛ばれたとき、何となく違和感を覚えました。
(微妙に飛び方が変だし、翅形が直線的だったような・・・?)
とまってくれるのを待ち、改めて確認してみると・・・やっぱり!!
▲口吻を伸ばしながら飛ぶオオムラサキマネシアゲハ(
Chilasa paradoxa)。ツマムラサキマダラの仲間に擬態している。飛び方まで似せていて、アゲハのくせにゆらゆらゆっくりと飛ぶ。 (2007年12月29日 Kinta Highland, Malaysia Olympus E-330, 14-54mm)
▲オオムラサキマネシアゲハ(
C. paradoxa)のオス (2007年12月29日 Kinta Highland, Malaysia Olympus E-330, 14-54mm)
▲オオムラサキマネシアゲハ(
C. paradoxa)♂の吸水 (2007年12月28日 Kinta Highland, Malaysia Olympus E-330, 14-54mm)
※私信にて同定ミスの指摘を頂き、過去の記事を一部訂正いたしました。
1月14日の記事 リュウキュウアサギマダラ(
Ideopsis similis) →
I. vulgaris
1月10日の記事 Euthalia monina のメス → オス
この記事のトラックバックURL
http://ze-ph.sakura.ne.jp/zeph-blog/tb.php?156
Commented by
fanseab at 2008/01/19 21:39
小生もボルネオでこのアゲハに完璧に騙された口です。
帰国して、ポジ(当時は銀塩)を検して初めてこの蝶と確認した時は
ビックリ。そして個体数が少ないことも知って二度ビックリでした。
それ以来、閉翅したEuploeaを見る時は必ず脚が6本か4本か?確認することに
しています。「6本のいねぇのかよ〜」って、いつもガッカリしていますが・・・・
1-2枚目の個体と3枚目は別個体ですよね!
Commented by
空飛ぶ父 at 2008/01/19 21:57
あっ! なるほど!
先ほどから家族で、「これが何でアゲハなの????」と悩んでいた所でした。
しかし、屋外でよく、見分けがつきましたね〜。
私たちは fanseab さんのコメントの「脚の数」しか差がわかりません。
しかし、ホントにツマムラサキマダラそっくりですね。腹部の模様まで..
Commented by
ze_ph at 2008/01/20 03:23
fanseabさん
脚の数で見分けるというのは思いつきませんでした。
でも、脚の数を野外で確認するのって、結構大変なような・・・(笑)
>1-2枚目の個体と3枚目は別個体ですよね!
ご指摘の通り、1枚目と2枚目は同じ個体ですが、3枚目は別の個体です。(撮影日も異なります。)
今回このポイントはEuploeaが少なく(時期のせいなのかもしれませんが)、見かけても日に3-4頭程度だったのですが、それに対してparadoxaを日に1-2頭見かけていて、なんとEuploeaに見える蝶の約3分の1がparadoxa!という夢のような場所でした。
とはいえ、そんな高頻度にparadoxaがいたにも関わらず、初日のうちは「なんだ、全部ただのEuploeaじゃん。」と、ろくに確認もせず無視していました。
今思えば、きっとparadoxaに騙されきっていたんだと思います・・・。
Commented by
ze_ph at 2008/01/20 03:43
空飛ぶ父さん
色や斑紋ではなく、触覚や胴体・翅などの形に注目してみると、「あ、やっぱりアゲハなんだなぁ」と思うのではないでしょうか。
標本や写真では、100%見分ける自信があったのですが・・・現地で飛んでいるparadoxaにはすっかり騙されてしまいました。
それにしても、この擬態の完成度、すさまじいですよね・・・
コメントする