まだブログには書いていない、というか、僕が入院したせいで書くタイミングを逃したのだけれど、今年も深浦でアオスジアゲハが発生していた。1化目の目撃情報も聞いているから、越冬に成功したのだと考えてまず間違いないと思う。2化目の成虫は多数確認していて、父は(僕の入院中にも関わらず)何度も通いつめて撮影していた。その写真はシーズンオフに載せるつもり。
さて、深浦のアオスジアゲハだけれど、深浦のタブノキは限られた場所に少し生えているだけだから、気候問題を抜きにしても大きな個体群にはなり得ないと思う。その上、越冬蛹の生存率は、少なくとも従来の北限程度には低いだろうから、春型の個体数はかなり限られるはず。もしかしたら片手で数えられる程度の個体数になるかもしれない。そのとき運悪く性比が偏ってしまったりなんかしたら、簡単に滅びると思う。他の北上侵入種(クロアゲハ、ヤマトシジミ)は、食餌植物がいくらでもあるし、ましてほぼ連続的に分布しているから他個体群との交流もあるだろうし、気候問題さえクリアできれば定着するのはある意味当然。ただ、アオスジアゲハはそうではない。(さらに言うなら、もともと深浦にアオスジアゲハが分布しなかったのは、気候的な制限以上に、タブノキ群落が小さく孤立度も高いせいで個体群を維持できないことが影響していたのではないか。)
先週末、アオスジアゲハの越冬蛹を2頭見つけた。(他に、2〜3化目なのか越冬蛹なのか分からないけれど、死蛹も3つ確認した。)この蛹は来春無事羽化出来るだろうか。そして、来年もアオスジアゲハは発生を続けられるだろうか。
▲アオスジアゲハの越冬蛹。4mくらいの高さにある葉の裏で見つけた。 ―2008年10月13日 青森県深浦町
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Commented by neptis at 2008/10/21 12:58
アオスジアゲハ、越冬に成功したんですね。
こうやって蛹の写真を見せていただくと、蛹の筋状の模様が葉脈みたいに見えるんですね。面白いです。
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ze_ph at 2008/10/21 23:51
neptisさん
非休眠蛹は去年簡単に見つけられたのですが、越冬蛹は本当に見つけにくいです。この蛹も、あれだけのサイズで立体感もあるものが、よくもまぁここまで上手く隠れるものだと感心してしまいました。
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fanseab at 2008/10/22 07:25
アオスジの越冬蛹探索は冬場の楽しみですね。ただ神奈川県の観察では寄生率が相当に高いです。北限のそちらでも同率なら、食樹の少なさと合せ、彼等にとっては厳しいでしょうね。
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ze_ph at 2008/10/26 17:41
fanseabさん
たしかに、寄生率は高いかもしれませんね。また、幼虫時の被食率もかなり高いようなので、この地域一帯でそもそもどれだけの越冬蛹ができているのやら・・・。
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