今回のマレーシア旅行で見た蝶の中で、おそらく一番の珍らしいのが、エサカマネシジャノメ(
Elymnias esaca)です。
変わり者の多いマネシジャノメ属(
Elymnias)の中でも際立って特殊な種で、成虫は
デリアスに擬態(他の多くの種はマダラチョウの仲間に擬態)し、幼虫は着生ランを食草(他の種はヤシ科植物が食草)とします。
実は僕と父はマネシジャノメの仲間が好きで標本も集めている(とはいっても、それほどのコレクションではない)のですが、マネシジャノメの仲間は2〜3種の普通種を除くと他は全て結構な珍種なので、現地に行ったところで実際に見られるものとは思っていませんでした。さらに、このエサカマネシジャノメは珍種揃いのマネシジャノメ属の中でも特に珍しい種で、標本を手に入れることすら、そう簡単な代物ではありません。
―そんな珍品中の珍品が目の前にいるのですから、父も見つけた時はきっと驚いたことでしょう。
ちなみに、僕も父に呼ばれてエサカの実物を遠目に見ているのですが、その後間もなく飛ばれてしまい、父がとっさに撮影した数枚しか写真は残っていません。
▲エサカマネシジャノメ(
Elymnias esaca)のメス。
デリアスに擬態している。父撮影。 (2007年12月29日 Kinta Highland, Malaysia PENTAX *ist DS, 70-300mm)
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fanseab at 2008/02/18 23:31
esaca♀撮影おめでとうございます。こちら最普通種のhypermnestra以外は撮影できておらず、羨ましい限りです。「モデルのDelias(ninus?)とは生息標高域が異なる・・・」との見方もありますが、Kinta Highlandにはモデルも共棲しているのでしょうか?
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ze_ph at 2008/02/20 18:44
fanseabさん
確かに、一般的にこいつのモデルになっているであろうDelias ninusなんかは、もっと標高の高いところにいるように思います。なので、言われてみれば生息標高域はあまり重ならないかもしれません。
ただ、捕食者(主に鳥?)自体が移動性をもつから構わないのではないかという考え方もあるように思いますし、また、Prioneris philonomeとは混生していたので、もしかしたら、D. ninus と P. philonomeは相互(模倣?)擬態、P. philonome と E. esaca は模倣擬態、なんて構造が成り立っているのかもしれません。
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asano at 2008/02/21 21:21
こんなマネシジャノメ、初めて見ました。デリアス擬態ですか。。
スレた感じとかは間違いなくマネシジャノメですね。
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ze_ph at 2008/02/22 01:42
asanoさん
この個体は実際にかなり汚損・破損していたので、実際にはもうちょっと形の整ったElymniasです(苦笑)
マネシジャノメの仲間は面白くていいですよね。
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