フチグロトゲエダシャクは、早春性で昼行性のシャクガ。どこにでもありそうな河川敷に生息し、まして広食性だというのに、生息地の限られる珍品です。実は11日も、この種を探しに動いていたのですが、まだ羽化が始まっていなかったようで、そのうえ風は痛いほどに強く、ただひたすら辛い1日となりました。今回は、そのリベンジ。
フチグロトゲエダシャク♂ ― 2010年04月16日 青森県五所川原市
去年の9月にセスジスカシバで試したのと同じように、飼育羽化品の処女メスを現地に1頭連れて行き、オスを誘引しつつ、メスの活動を1日じっと観察してみることに。このメスは羽化後数日経っていたので、きちんとコーリングしてくれるか不安だったのですが、そんな不安を余所に、ケースから出すや否や長い尾端を伸ばしてコーリングくれました。
コーリングが始まってしばらく経つと、何頭ものオスが周囲をまとわり飛ぶようになりました。それにしても、フチグロの飛翔は、速くて不規則。1/4000秒でシャッターを切っても、当然のようにブレてしまいます。
2010年04月16日 青森県五所川原市
交尾。12時頃。 ― 2010年04月16日 青森県五所川原市
交尾後しばらくすると、それまで全く動かなかったメスが急に歩き出し、そして、産卵を始めました。枯れた植物の亀裂に尾端を差し込み、内部に卵塊を産みつけます。
産卵 ― 2010年04月16日 青森県五所川原市
卵 ― 2010年04月16日 青森県五所川原市
産卵を止めると、今度はまた再びコーリングを始めました。複数回交尾するらしい話は聞いていたのですが、既交尾メスが積極的にオスを求めるというのは、なんだか意外で、驚いてしまいました。面白いなあ。
2度目の交尾。午後2時頃。 ― 2010年04月16日 青森県五所川原市