東南アジアでよく見られるキマダラルリツバメ類
Spindasis は、
S. syama と
S. lohita の2種です。その他はそれなりに珍しい種であったり、そもそもシノニムが疑われる種であったりします。2種の中では、
S. lohita の方がやや珍しく、サイズも一回り大きくて、ちょっぴり格上の印象。
S. lohita の産卵
S. lohita の卵
S. lohita ♂
S. lohita はあまり多く見られませんでしたが、
S. syama は方々で見かけました。この2種は後翅裏面基部の3点が融合するか否か(融合するとlohita、分離するとsyama)という何とも繊細微妙な差異をもって区別するのが一般的。とはいえ、目が慣れてくるとそこを見ずとも一見して分かるほどに違う種です。むしろ後翅基部の3点だけで見分けようとすると誤同定しがち。
S. syama ♂
S. syama ♀
S. syama の雌雄
S. syama ♂
S. syama ♂
今回は、念願叶って幼虫まで見つけることができました。
シリアゲアリ類を随伴するところは日本のキマダラルリツバメと同様。しかし、こちらはアリからの給餌を受けず、専ら植物の葉を食べて育ちます。
Spindasis 属はアジアからアフリカにかけて50種近くが広く分布しているものの、アリからの給餌のみで幼生期を全うすることが知られているのは、日本産のキマルリだけです。
シリアゲアリ類の出張巣に身を寄せる中齢幼虫。付いていたのはエノキ類と思しき植物。
マメ科植物の葉を食べる終齢幼虫
葉陰に身を潜める終齢幼虫。シリアゲアリがその周りに出張巣を作り始めていました。
吐糸で葉を綴り、その中で蛹化します。
葉上での生活に適応しているのか、蛹は緑色。
羽化が近付くと、翅表の青色と腹部の虎模様が浮き出てきました。
羽化してきたのは
S. lohitaのオスでした。
2012年12月24日〜2013年01月01日 Langkawi Is. & Dayang Bunting Is., MALAYSIA