独特な熱帯らしい配色でインパクトのある、このウラフチベニシジミ(
Heliophorus epicles)は、マレーシア(特に19マイル)の最普通種と言っても過言ではないくらい、普通に見られるチョウです。しかし、普通種と分かっていても、この美しさには毎回ドキッとさせられます。
ベニシジミ亜科に分類されますが、日本のベニシジミの面影は殆ど見られません。(・・・といっても、亜科って結構上位の分類段階ですけれど。)ただ、タデ科植物を食草としているところは、日本のベニシジミと一緒です。
19マイルのオラン・アスリ集落周辺では、このチョウがとにかく多いです。このチョウが多少開けた環境を好むため、人間の生活空間の周りでふえやすく、当然と言えば当然かもしれません。ただ、オラン・アスリが普通種(=ウラフチベニシジミやキチョウの仲間)を採らずに、他の虫をどんどん採集していくため、競争相手や外敵に選択的な採集圧がかかっているということも、少なからず影響しているのでは、と思っています。
▲ウラフチベニシジミ(
Heliophorus epicles)。日本で言うところのベニシジミのような普通種で、19マイルポイントのオラン・アスリ集落周辺に沢山飛んでいた。オラン・アスリたちは寄り好みせず手当たり次第にチョウを捕まえるけれど、ウラフチベニシジミとキチョウの仲間だけは雑魚扱いして見向きもせず、カマキリの餌などとして使っていた。 (2007年12月24日 19 mile, Malaysia Olympus E-330, 14-54mm)
▲ウラフチベニシジミ(
Heliophorus epicles)のオス。オスの翅表は、見ての通りとても豪華。紫色の部分は、キマダラルリツバメに似たタイプの輝き方をする。父撮影。 (2007年12月24日 19 mile, Malaysia PENTAX *ist DS, 105mm)
▲ウラフチベニシジミ(
Heliophorus epicles)のメス (2007年12月25日 19 mile, Malaysia Olympus E-330, 14-54mm)
▲ウラフチベニシジミ(
Heliophorus epicles)の産卵。日本のベニシジミと同様にタデ科の植物を食草としている。 (2007年12月25日 19 mile, Malaysia Olympus E-330, 14-54mm)
▲ウラフチベニシジミ(
Heliophorus epicles)。ちなみに、これらの写真は全て、
オラン・アスリの記事の1〜2枚目の写真の辺りで撮影している。父撮影。 (2007年12月24日 19 mile, Malaysia RICOH GR DIGITAL)
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Commented by Vespa at 2008/03/12 09:14
やっぱり熱帯といえど、普通種以外は減少しているんですね。
下の記事のお兄さんたちが持っている粉・・でなくて、三角紙の量を見れば、その全体的な採集圧もなんとなくわかる気がします。
そんなに採って、全部売れてるのでしょうか・・・大抵はごみにされてしまうように思うのですが。
Commented by
ze_ph at 2008/03/12 18:19
Vespaさん
僕は、粉ではなくて、有機溶剤の方をイメージしていました(笑)
彼らの持っている三角紙はどれだけの期間で集めたものなのか分かりませんが、彼らにとってはこれが仕事なので、沢山採らないことにはどうにもならないのだと思います。
>全部売れてるのでしょうか・・・
かつて日本のコレクターたちがこぞって東南アジアの蝶の標本を集めていた時期なんかにはかなり売れたのでしょうが、今は少なくとも日本からの需要なんてたかが知れており、売上はそれなり・・・でしょう。
ただ、あまり昔のように高く売れないにしろ、今は装飾品やお土産品の材料としても取引されているようです。(全部が全部そうなのかまでは分かりませんが。)
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