この時期の陸中でキチョウを時折見かけるのですが、このチョウは津軽では半ば迷蝶のような存在です。僕自身、県内で見たことは一度もありません。
ところで、最近では日本のキチョウを2種に分けることが多いようで、標準図鑑では本土に分布している種(
Eurema mandarina)にキタキチョウという和名を当てています。(もう1種は奄美以南に分布する
E. hecabeで、当てられている和名はキチョウ。)しかし、このキタキチョウという和名がどうしても好きになれません。たしかに、この2種が「キチョウ」として1種にまとめられていたころ用いられていた種小名は
hecabeなので、「
E. hecabe=キチョウ」としたい気持ちはよく分かります。でも、和名を使うのなんて日本人だけだし、その大部分が本土で生活していることを考えると、南西諸島中心に南北を表現するのは今ひとつピンときません。和名と以前の学名との間に整合性が取れなくなるのだとは言っても、本土に分布している
E. mandarinaはキチョウ、日本では奄美以南にしか分布していない
E. hecabeはミナミキチョウ、といった辺りの和名で呼んだ方が分かり易いのではないでしょうか。
父撮影 2009年07月05日 岩手県川井村
2009年07月05日 岩手県川井村