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シロオビフユシャク
 弘前公園に行ってフユシャクを探したらInurois(ウスバフユシャクの仲間)ばかりだったという話を聞いて、昨日は夜も眠れませんでした。というのも、Inuroisには厳冬期に発生する種が多く(厳密には積雪するような時期は発生しないけれど)、Inuroisの発生ピークということはつまり、他の多くの種の発生期を逃してしまったということになるからです。今日はゼミの先輩の手伝いを約束していたのですが、それも手に付かず、気付いたら弘前公園へ向かっていました。先輩ごめんなさい。
 結論から言うと、時期はまだ大丈夫そう。確かにInuroisのオスがぽつぽつ見られるもののメスはまだ少なく、シロオビフユシャクやイチモジフユナミシャクなど、晩秋〜初冬に発生する種が少なからず見られました。今夜は安心して眠れそうです。


シロオビフユシャクのメス ― 2009年11月18日 青森県弘前市
クロオビフユナミシャク
 このクロオビフユナミシャクは、オスならどこでもよく見かけるのですが、なぜか去年はメスを見つけられませんでした。久しぶりに、翅の発達した、というか、翅の退行的進化が不十分な、というか、そんなフユナミシャクのメスを見つけると嬉しくなってしまいます。フユシャクのメスは、翅が小さくなったり、あるいは消失してしまっているところが美点だというのに、それに対して翅の大きさを求めるのは矛盾しているような気がしないでもないのですが、レピ屋の性なのか、結局翅に惹かれてしまいます。


クロオビフユナミシャクのメス ― 2009年11月17日 青森県鰺ヶ沢町
ナカジロハマキ
 ミズナラの幹に付いた鳥の糞を横目に通り過ぎた直後、「そういえばさっきの鳥の糞、不自然なくらい左右対称だったような」と思い直し、戻ってじっくり探してみると、この蛾がいました。実物は写真以上に乾いた鳥の糞そっくりで、もうこのレベルになると、驚きを通り越して呆れてしまいます。


2009年11月13日 青森県弘前市(岩木山)
フユシャク
 先日、大八木さんのブログにヤノコスカシバと思しき画像が掲載されているのを見て、驚いてしまいました。このヤノコスカシバという種は、まだ限られた記録しかない大珍品で、食餌植物をはじめ生態に関することは全く分かっていません。とても貴重な記録になるはずです。ところで、北東北の山地で撮影されたコスカシバ類の写真からは、他種に誤同定されているけれど実はヤノコスカシバ、というものが時折見つかります。大珍品の座を護っているのは、希少性や分布の局地性だけではないのかも。

 さて、今日の午後はフユシャクを求めて岩木山へ。例年通りクロスジフユエダシャク(昼行性の普通種)が乱舞しているのを期待したのですが、なぜか1♂として見当たらず、もちろんメスも見つけられませんでした。天気は良かったのに、どうして・。帰り際に見つけたInurois属のメスがせめてもの救い。気付かないうちに晩秋性フユエダシャク類の時期を逃してしまっている、なんてことじゃなければ良いのだけれど。


Inurois属(ウスバフユシャク属)のメス。この属のメスは外見上ほとんど区別できない。


同じくInurois属に分類されるウスモンフユシャク♂ ― 2009年11月13日 青森県弘前市(岩木山)
シタキモモブトスカシバの虫エイと蛹殻
 また深浦へ行ってきました。今日は大八木さんも一緒です。時期柄あまり多くのものを見ることは叶わず苦戦したのですが、シタキモモブトスカシバの土繭や古い虫エイを見つけられたのは大きな収穫でした。
 しかし、中に幼虫の入った土繭は大八木さんが見つけた1個のみで、他に掘り出した14個の土繭は全てが昨夏以前の羽化殻。今回探したキカラスウリには、今年あまりメスが訪れなかったのかもしれません。ちなみに、土中での被捕食率がとても高いという話を聞いていたのですが、周囲がコンクリートで固められていてモグラなど捕食者の入れる環境でないためか、捕食などによる死亡個体はありませんでした。


羽脱後の土繭と蛹殻。シタキモモブトスカシバは土中で越冬、蛹化する。 ― 2009年11月08日 青森県深浦町


空になった虫エイ。ホストはキカラスウリ。虫エイの片側を木屑で紡ぐのがモモブトスカシバ類の特徴。 ― 2009年11月08日 青森県深浦町
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