食餌植物:エビヅル・ノブドウ(ブドウ科)
国内分布:本州(青森県・岩手県)
2014年、岸田氏との共著で新種記載した。ブドウスカシバ N. regalis とムラサキスカシバ P. purpurea に酷似するが、(1)雄交尾器の形態が明確に異なる(ブドウスカシバとムラサキスカシバは酷似する)ほか、(2)後脚脛節内側の色(ブドウスカシバ・ムラサキスカシバでは橙黄色、本種では灰色がかった黄白色)、(3)頭頂部の毛色(ブドウスカシバでは黄色、ムラサキスカシバでは黒色、本種では黒色と黄色の毛が混在)、(4)前翅の色調(ブドウスカシバでは赤褐色、ムラサキスカシバでは黒紫色、本種はその中間的な色)などで区別できる。また、本種は他2種よりやや小型。
東北地方北部でのみ確認されており、ブドウスカシバ・ムラサキスカシバと分布域の重複は見られない。なお、北海道小樽市産の標本(オス1個体)をもとに yezonica という種が記載されている(Matsumura, 1931)が、当該タイプ標本はブドウスカシバ N. regalis と区別できず後にシノニムとされた(Yano, 1961)。本種と yezonica とでは交尾器の形態が大きく異なっているものの、北海道産ブドウスカシバの扱いは検討を要する。
成虫出現期は初夏。幼虫はブドウ類の蔓内に穿孔して虫エイを形成する。幼虫態越冬した後、春になると羽脱孔を開け虫エイ内で蛹化する。年1化。配偶行動時間帯はおよそ15-16時。
1. Kishida, Y., Kudo, T., & Kudo, S., 2014. A new species of Nokona Matsumura from Japan. Tinea 23(1): 4-9.
2. Matsumura, S., 1931. A list and new species of Aegeridae [sic] from Japan. Insecta Mats. 6: 4-12, pl. 1.
3. Yano, K., 1961. Studies on six species of the genera Paranthrene Hübner and Conopia Hübner from Japan (Lepidoptera, Aegeriidae). J. Fac. Agric., Kyusyu Univ. 11(3): 209-236, pls. 11-21.