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上野の噴水とアオスジアゲハ [2006-09-28 00:46 by ze_ph]
『考える人』とツマグロヒョウモン [2006-09-26 00:25 by ze_ph] オオウラギンヒョウモンを探しに・・・ [2006-09-20 00:46 by ze_ph] 低標高地のエルタテハ [2006-09-17 00:52 by ze_ph] ゴマシジミの幼虫 [2006-09-11 00:33 by ze_ph] キベリタテハの副産物 [2006-09-08 01:52 by ze_ph] 八甲田山のキベリタテハ [2006-09-04 22:31 by ze_ph] 白神山地のツマジロウラジャノメ [2006-09-01 23:51 by ze_ph] ▲ 上野公園の中央噴水池前広場を舞うアオスジアゲハ(息子撮影) 北国に住む者にとって、アオスジアゲハは憧れの蝶です。 9月24日の上野公園では、中央噴水池を囲んでいる植え込みで多数のアオスジアゲハに出会いました。 息子はアオスジを追いかけてGRデジタル片手に駆け回り、私はその光景を木陰のベンチでのんびり眺めながら過ごしました。このおだやかな時間こそが、私にとっては極上のひとときなのです。 続きを読む(アオスジアゲハの訪花・飛翔) ▲ロダン作『考える人』の前で日光浴中のツマグロヒョウモン♂ 東京・上野の国立西洋美術館前庭で息子撮影 9/23は東京・大手町のサンケイプラザで開催されたインセクト・フェアに参加し、フェア終了後は西永福の木曜社へおじゃましました。フェア会場や木曜社でお会いした多くの方々から当サイトへの励ましのお言葉を頂戴したことを、息子は感慨深そうに申しておりました。虫が好きな若者をあたたかく見守ってくれる方たちがいるからこそ、より楽しく虫を見つめ続けることができるのだと感謝しています。みなさん、本当にありがとうございます。 フェアの翌日は快晴だったので、久々に上野公園へと向かいました。 私たち親子が前回上野を訪れたのは2000年9月。そのころ息子はまだ小学6年生で、青森では見ることのできない虫たちが大都会の真ん中でみつかることに驚いたものです。なかでも、国立西洋美術館の前庭に常設されたロダンの大作「考える人」のまわりを飛ぶ蝶たちが印象的だったので、今度はそれらを撮影してみようというわけです。 上野駅の公園口を抜けて西洋美術館へ到着すると、正門脇に植えられたミカン類の樹上をフワフワと舞う黒くて大きな蝶がすぐ目につきました。なんと、ナガサキアゲハです。私も息子も、日本国内でナガサキアゲハを見るのは初めてのこと。ところがカメラは広角専用のGRデシタル1台だけなので、30cmほどまで近づかないと上手く撮れません。やむなく息子は正門脇の塀にのぼろうとしたのですが、すぐに美術館の警備員が駆けつけました。私が警備員に事情を説明しながら息子が撮影という妙な連携プレイで何とかファインダーにはおさまったものの、さほどしないうちにナガサキアゲハは飛び去ってしまいました。 しかたがないので『考える人』の近くにツマグロヒョウモンが舞い降りるのを待ち続け、1時間ほどねばってどうにか撮影。ナガサキアゲハもツマグロヒョウモンも、2000年に訪れた時にはいなかったはずの北上種です。 その後は島根の淀江さんと千駄木のファーブル昆虫館で待ち合わせ、館長の奥本大三郎先生から故・白水隆先生が書いた色紙を貸していただきました。この色紙、酔っぱらった白水先生が奥本先生の「奥」の字を書き間違えてしまったもので、「弘法も筆の誤り」と書き添えられているあたりに白水先生らしさがうかがわれます。詳しくは白水隆文庫刊行会が来年出版を予定している白水隆アルバムに掲載されますので、完成したらぜひ手に取って御覧下さい。 続きを読む(ナガサキアゲハ・木曜社・ファーブル昆虫館) ▲白神山地の西麓で撮影したウラギンヒョウモン大型♀ オオウラギンヒョウモンの記録が青森県から途絶えて20年以上になります。それでも青森のオオウラギンが滅びたなんて思いたくないので、世界自然遺産になったくらいだから可能性があるのではと考えて白神山地周辺を歩き続けているのですが、いまのところ朗報はありません。 そんななか、大きなウラギンヒョウモンの♀をみつけました。正直なところ、オオウラギンのような気がして一瞬ドキッとしたのですが・・・・ここまで立派になると、ウラギンのくせに後翅第5室や後角部などの外縁黒斑が軽微ながらM字状を呈し、ほんのちょっとオオウラギン的に見えてしまうのが悔しいですね。 さて、お知らせです。今週の土曜(9/23)、東京・大手町で開催されるインセクト・フェアに息子と二人で出かけます。出品はしませんが、ゼフィルス研究会か白水隆文庫刊行会のコーナーで手伝いをしているはずなので、フェア会場へおいでの方はよろしくお願いします。 続きを読む(クモガタヒョウモン・トビイロケアリ・コブヤハズカミキリetc.) ▲ 深浦町で撮影したエルタテハ。スミナガシの探索中、シロスジカミキリに食害されて樹液の出たヤナギでみつかった。深浦をはじめとした白神山地北西部にはエルタテハの記録がなく、この画像は同地域初となる。 青森のエルタテハは、なかなかの珍品です。成虫記録は9割以上が八甲田山の標高700~900m地帯に集中しているのですが、この地域でさえ一日いっぱい探して1匹みつかれば運が良いほど。もちろん八甲田以外の場所にはごくごく僅かな記録しかありません。ここでの食餌植物は、亜高山環境に自生するカンバ類と考えられますが、あまりに少ない蝶なので幼生期に関する知見は皆無です。 ところが今年は、八甲田以外の数カ所でエルタテハの新成虫に出会いました。どの場所も標高は数十メートル。カンバ類ではなくハルニレが多い環境です。 本州のエルタテハにはハルニレでの確実な発生記録がないようですが、北海道ではカンバ類のほかにハルニレでも発生するとのこと。青森にも、低標高地のハルニレで発生するエルタテハがいるのでは。 続きを読む(クロヤマアリ・キベリタテハ・オオルリボシヤンマ・オオヒカゲetc.) ▲ 雨の中のヒメアカタテハ ▲生き残りのゴマシジミ♀(息子撮影) せっかくの日曜なのに、今日は朝から雨。当初はヤマトシジミを調べに深浦へ行くつもりでいたのだが、この天気の中で往復200キロの海岸道路を走る気にはなれない。予報では、これから更に雨脚が強くなるとのこと。外出しようかどうか迷っていると、ナガボノシロワレモコウの花にいるゴマシジミの幼虫を見に行ってみたいと息子が言い出した。最も近いゴマシジミ生息地である岩木山までは車で40分程度だし、花穂中の幼虫なら傘をさしながらでも撮影できそうだ。 実際に岩木山へ到着してみると、雨の降りっぷりはなかなかなもの。私が傘を2つ持ち、その下で息子がカメラを構えての撮影となった。それでも雨脚が弱まるとモンキチョウやヒメアカタテハが飛びかい、ナガボノシロワレモコウの花穂には驚いたことにゴマシジミの成虫が・・・・・新鮮個体の産卵行動を撮影したのは8月上旬なので、すでに1ケ月以上が経過しているというのに・・・・・ 続きを読む(ゴマシジミ幼虫・ヒメアカタテハ・モンキチョウ・カンタン) ▲斜面で日光浴中のクジャクチョウ(息子撮影) キベリタテハの撮影に出かけた日は朝から雨のパラつく悪天だったのですが、目的地である地獄沼に近づいたころから雲が切れはじめ、撮影中は見事に晴れてくれました。おかげでキベリタテハだけでなく、クジャクチョウなどの副産物にも出会えました。 続きを読む(ヒオドシチョウ・シータテハなど) ▲ダケカンバの樹液を吸汁しているキベリタテハ(息子撮影) キベリタテハが撮りたくなって、2年ぶりに八甲田山へ行きました。 八甲田山といえば、雪中行軍遭難事件(1902年に日本陸軍の行軍部隊210名のうちの199名が彷徨の果てに凍死した事件で、映画化もされました)があまりにも有名で、暗く厳しい山という印象があるかもしれません。でも蝶が好きな者にとっては、確実にキベリタテハに出会うことができる魅力的な場所です 撮影地には、北八甲田の標高約900mに位置する地獄沼周辺を選びました。この沼は八甲田火山時代の爆裂火口湖で、今もブクブクと噴気活動を続けています。沼のすぐそばの露岩地は「賽の河原」と呼ばれる霊場で、キベリタテハは硫黄臭が鼻を突くこの場所に好んで飛来するのです。 続きを読む(賽の河原・日光浴など) ▲訪花中のツマジロウラジャノメ♀(息子撮影) ツマジロウラジャノメはロッククライミングの対象になるような断崖を生息地とする特殊な蝶で、青森では東南部地方(五戸町・倉石村・新郷村・南部町・田子町・八戸市)や八甲田山西部(青森市)・白神山地などに記録がありました。しかしながら、東南部地方や八甲田山では30年以上も記録が途絶え、今世紀に入ってからは世界遺産として知られる白神山地でしか確認されていないとのこと。このため2006年に改訂された青森県版レッドリストでは、Aランク(最重要希少野生生物)に選定されています。 青森ではかくも稀な存在なので、「ツマジロの撮影なんて夢」という気持ちがあったのですが、せめて崖のうえ高くを舞う光景を見上げるだけでも良いという気持ちで8/19・20の2日間、白神山地を探し歩きました。でも、さすがにツマジロは敷居が高く、2日とも成虫は空振り。せめてもの救いは、食痕のあるヒメノガリヤスの周囲から羽化後まもない蛹殻と寄生による黄変蛹が各1個みつかったことでした。 羽化殻があるのなら時期的には問題がないと考えて、8/22・8/24・8/26と通い続けたところ、苦労の甲斐あって8/26の午後に1♀を発見。ただし、かなりな汚損個体です。 しかたがないので、8/27はより山深い環境に入りました。この日は、受験勉強から息抜きしたいと言って久々に息子が同行したのですが・・・・・何日も苦渋をかんできた父親を横目に、息子がちゃっかりと訪花中の新鮮なツマジロを撮ってしまいました。やれやれ・・・・・・ 続きを読む(ツマジロウラジャノメ羽化殻・寄生による黄変蛹 |