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▲ようやく発見できた深浦のヤマトシジミ。この個体は外縁黒帯が幅広い高温期型♂ 豪雪の影響が危惧されていた深浦のヤマトシジミがようやくみつかりました。 例年は第一世代が5月、第二世代7月、第三世代8月、第四世代9-10月の出現なので、今回の成虫は第三世代かと思われます。 さてそのヤマトシジミですが、かつては秋田県最南端の象潟が日本海側における越冬北限とされていました。ところが1990年代に入ると温暖化による北上傾向が秋田県各地で指摘され、2000年10月には青森県南西部の深浦地方から発見されました。ヤマトシジミのように飛翔力が弱い蝶でさえ、10年の間に数十世代をかけて北上すれば、青森県にまで到達できるということなのでしょう。 こうして青森県へ到達したヤマトシジミは斑紋異常個体の多発現象などで注目されていたのですが、豪雪の影響で2005年は激減。さらに2006年の深浦は66年ぶりという豪雪で、2冬連続となった厳冬の影響は深刻でした。 スミナガシ探しで8月の深浦へ6度も通い続けたのは、ヤマトシジミ調査のためでもあったのです。 そんな経緯があっただけに、無事ヤマトシジミがみつかってくれてホッとしました。とはいえ、今のところ個体数はかなり少ないので、斑紋異常は確認できていません。秋が深まって、多数の第四世代が出現する時こそと期待しているのですが・・・・・ 続きを読む(ダイミョウセセリ・カラスアゲハ・チャマダラエダシャク) ▲スミナガシ 対馬暖流の影響が顕著な深浦は、日本海側におけるスミナガシの北限でありながら、昨年は面白い画像に恵まれました。 ところが今年の深浦は、なかなかスミナガシが見当たりません。週末と夏期休暇を利用しながら、12・19・20・22・24・26日としつこく6度も通い続け、ようやく撮れたのが今回の画像・・・・北限の厳しさを思い知らされました。せめてもの救いは、スミナガシ探しの合い間にオオアオカミキリやカブトムシといった虫たちが撮影できたことでしょう。 →続きを読む(オオアオカミキリ・カブトムシ・オナガミズアオ・ムモンアカ産卵) ▲海岸の蝶カバイロシジミ(息子撮影) 昔は北海道にしか分布しないと考えられていたカバイロシジミ。 青森県では1929年に石澤善次郎という人が津軽半島北端の三厩村(現・外ケ浜町)で得た1♀が最初の記録ですが、1952年に弘前高校生物部によって再発見されるまでは周囲から疑問視されていたそうです。 弘前高校が再発見する1952年までの23年間も疑われていた石澤さんの心境は、「それでも地球は動いている」と唱え続けたガリレオ・ガリレイのようだったに違いありません。 その後は海浜植物であるヒロハノクサフジで発生していることが判明し、津軽半島北部と下北半島西部の海岸だけに局所的な分布をすることが解明されました。 本州では青森県でしか見ることのできないカバイロシジミ・・・・・・最果ての海岸に暮らすその姿を広角レンズでとらえてみました。 →続きを読む。(カバイロシジミ、ミヤマカラスシジミ、ニイニイゼミ) ▲竜飛岬を舞うゴマシジミ(息子撮影) 久々に竜飛岬のゴマシジミを見てきました。 ここのゴマシジミは個体数が少ない上に生息斜面が急峻なので、撮影可能な距離に近づけるかどうか不安だったのですが、今回は多数の画像を撮ることができました。 竜飛のゴマシジミといえば斑紋が特化していることで有名ですが、1999年にはミトコンドリアDNAのND5でも青森県内の他産地と異なることが判明(工藤1999 : アリとの間に特殊な関係を持つシジミチョウ類の生態考察.第8回東北インセクトフォーラム宮城大会記念号.11-13. )。特異な存在であることが再認識されています。 →続きを読む。(竜飛岬のゴマシジミ) ▲求愛のためにメスを追飛するオス。翅表斑紋の雌雄差がよく分かる。(息子撮影) ze_phこと息子が深夜にインターネットでバスの時刻表を調べていたので怪しいと思ったら、翌朝ひとりでゴマシジミを撮りに岩木山へ行きました。受験勉強に打ち込むと言ってblogを私に丸投げしたというのに・・・・・ ということで、撮ってきたのが今回の画像です。翅表が写し込まれた雌雄の追飛やシダ植物への誤産卵などを見せられて、思わず唸ってしまいました。 →続きを読む(ゴマシジミ、オオウラギンスジヒョウモン、メスグロヒョウモン、トノサマバッタ) ▲クズの葉蔭で早朝みつけたムモンアカシジミ♂。2日目。 7月の青森は異常低温警報が発令されるほど夏らしくなかったのですが、梅雨明け宣言がだされた8月2日以降は一変して猛暑の日々。盛夏の蝶ムモンアカシジミも出始めました。1972年に発行された原色日本昆虫生態図鑑チョウ編も1984年の日本蝶類生態図鑑シジミ編も、ともにムモンアカシジミが夕方に活動すると書かれていますが、これは誤り。実際は正午を中心に飛翔し、配偶行動もこの時間帯に行なわれます。ただし、樹冠部の高所を活発に飛翔するため、活動時間中の撮影は容易でありません。 そこで、朝なら林下部からみつかるかもしれないと考えて、以前ムモンアカを見かけたことのある青森市郊外の雑木林を訪れたところ、燃えるような朱色が高さ2.5mほどの葉上に見えました。あわててカメラを向けたのですが、朝日が当たって逆光なうえに胴部が葉にかくれて翅しか写りません。それでも、去年は撮影不可能なほど高いところにいる個体にしか出会えな,くて苦渋をかんだので、とにかく撮影。でも、この1カットを撮ってから更に近づこうとしたところ樹上高く飛び去ってしまいました。 次の日、さらに早起きして同地を訪れたところ、前日より低所に静止している個体がみつかりました。ミズナラにからみついたクズの葉陰に静止していたもので、面白いことに前脚をおろしています。(写真上) →続きを読む(ムモンアカシジミ、オオミスジ、コムラサキ、ヤマ/サトキマダラヒカゲ、ルリタテハ) ▲ウラギンスジヒョウモン♂(息子撮影) 7月29日、30日に引き続き、青森市東部の山間部をまわってきました。3回も連続でこの場所に通ったのは、オナガシジミも一つの理由ではあったのですが、オオオムラサキの撮影がしたかったからなのです。実は7月29日に樹上高くを雄大に飛翔するオオムラサキを偶然目撃、7月30日も同様に上空を飛ぶのを見上るだけで、撮影どころか溜め息ばかりが続いていたのです。 ところが今日、受験勉強の息抜きをしたいと言う息子を連れて同地を訪れたところ、なんと息子がオオムラサキを撮ってしまったのです。それはかなり鮮度の落ちた♂でしたが、前2回とも見上げることしかできなかった私は、ちょっと悔しい気分です。 さらに、カラスシジミやミヤマカラスシジミの産卵まで見つける始末。息子の引きの良さに舌を巻いてしまいました。 →続きを読む。(カラスシジミ・ミヤマカラスシジミ産卵、オオムラサキ、オニベニシタバ) ▲樹液を訪れた2匹のルリタテハ オナガシジミ探しのついでという気分で、樹液に集まる虫たちにもカメラを向けてみました。樹液の出ている穴の中にはスジクワガタがひそんでいるのですが、なかなか写りこむように出てきてはくれません。それでも数種のタテハ類やスズメバチが次々に訪れて、昆虫酒場は楽しいナァとつくずく感じました。 →続きを読む。(ルリタテハ、コガタスズメバチ) |