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▲海岸の蝶カバイロシジミ(息子撮影) 昔は北海道にしか分布しないと考えられていたカバイロシジミ。 青森県では1929年に石澤善次郎という人が津軽半島北端の三厩村(現・外ケ浜町)で得た1♀が最初の記録ですが、1952年に弘前高校生物部によって再発見されるまでは周囲から疑問視されていたそうです。 弘前高校が再発見する1952年までの23年間も疑われていた石澤さんの心境は、「それでも地球は動いている」と唱え続けたガリレオ・ガリレイのようだったに違いありません。 その後は海浜植物であるヒロハノクサフジで発生していることが判明し、津軽半島北部と下北半島西部の海岸だけに局所的な分布をすることが解明されました。 本州では青森県でしか見ることのできないカバイロシジミ・・・・・・最果ての海岸に暮らすその姿を広角レンズでとらえてみました。 ▲青森のカバイロシジミ♀は翅表の外縁黒帯が著しく発達し、かなり黒い蝶に見える(息子撮影) ▲追飛中のカバイロシジミ。前が♀、後ろが♂(息子撮影) ▲断崖の下で休止していたカバイロシジミ。黒点列の一部が消失した個体。 ▲海浜植物ヒロハノクサフジに産卵するカバイロシジミ♀(息子撮影) ヒロハノクサフジは断崖下に堆積した瓦礫の周辺に多く自生し、カバイロシジミそのものもこうした海寄りの環境を好む。 ▲ミヤマカラスシジミ♂。裏面の白色帯がやや減退している(息子撮影) ▲樹木が少ないからか、この日は枯れススキにとまったニイニイゼミを何度も見かけた(息子撮影) この写真の撮影地点は、20年程前にアナログ28mm広角でゴマシジミの産卵写真を撮ったお気に入りの場所だが、ススキが増え過ぎてナガボノシロワレモコウは激減し、今回はニイニイゼミしか写せなかった。 by ze_ph | 2006-08-17 22:39 | Comments(7)
灯台をバックに海岸のクサフジで静止するカバイロシジミ。青森ならではの構図ですね。1枚の写真に全ての要素が盛り込まれています。秀逸です。こんな写真をいつか撮ってみたいと思います。 Commented by maeda at 2006-08-18 08:47 x 環境が変化してゴマが撮影できなかったのは残念ですね。 ススキやササでワレモコウが隠れてしまうとダメになりますね。 そんな場所がいくつもあり寂しく思います。 Commented by Celastrina at 2006-08-18 22:02 x 虫林さん 8月に入ってほとんど雨が降らなかったためか、海浜部の植物が夏枯れでもしたかのように黄ばんでいて、イマイチの背景になりました。こうした背景植物の枯れっぷりは、上から4番目の産卵写真で顕著です。 Commented by Celastrina at 2006-08-18 22:45 x maedaさん 竜飛では一般に、カバイロシジミが海側、ゴマシジミは山側で多くみられます。上で述べたお気に入りの撮影ポイントは、灯台や北海道までもが見渡せる山側のすばらしい環境でした。 ところが1990年頃、稜線部に電力会社のPR事業として風力発電のための巨大風車がいくつも設置されました。風力発電は環境を破壊しないことが売り物とのこと。確かに当初は環境が保全されたかに見えたのですが、風車によって斜面への風当たりが変わり、微妙な条件の中でナガボノシロワレモコウが自生していた山側の植生も時間とともに少しずつ変化。十数年たった現在は、ゴマシジミが撮れない環境になってしまったのです。 このことは日本鱗翅学会の県別レッドデータリスト.日本産蝶類の衰亡と保護第5集(2003)にも書いたので、機会があれば読んでみて下さい。 Commented by 蝶山人 at 2006-08-21 14:49 x リクエストに応えてカバイロ有難うございます。この撮影地はCelastrina様主催の岩木山ミーティングで私の友人が教わって私も行った事がある場所なので感慨深いです。それにしても息子さんZe_phさんの写真最高ですね、広角の画角と被写界深度上手く利用してます。 青森まではなかなか行けないのですが、気になっているところなのでこの写真を見せていただいて、行ったような気がしてうれしいです。 それにしても息子さんの広角写真のセンスは抜群ですね。 色々なところで広角写真がはやりですが、こんなにうまく空気感を表現している写真は少ないです。 Commented by Celastrina at 2006-08-22 00:21 x 蝶山人さん ダンダラさん
カバイロシジミの発生地は確かに海寄りなのですが、実際にファインダーを向けると、蝶が見えても海は見えないということがしばしばで、私は上から4番目の休止写真を撮るのが精一杯でした。今回も息子に完敗です。
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