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インドネシア紀行 10 直翅類 [2007-01-31 19:22 by ze_ph]
インドネシア紀行 9 ツノゼミ [2007-01-28 17:08 by ze_ph] インドネシア紀行 8 セレベスヒラタ [2007-01-25 23:00 by ze_ph] インドネシア紀行 7 妙なシジミ [2007-01-24 21:05 by ze_ph] インドネシア紀行 6 ザリンダベニシロチョウ [2007-01-21 21:30 by ze_ph] インドネシア紀行5 ブランカルディ [2007-01-16 19:17 by ze_ph] インドネシア紀行 4 豪雨 [2007-01-14 14:01 by ze_ph] インドネシア紀行(スラウェシ編 3) [2007-01-08 00:33 by ze_ph] インドネシア紀行(スラウェシ編 2) [2007-01-05 01:30 by ze_ph] インドネシア紀行(スラウェシ編1) [2007-01-03 12:14 by ze_ph] ▲毒々しい色をしたバッタの交尾。フキバッタの仲間だろうか? (12月26日, スラウェシ中北部・パロロ村にて) 今回はスラウェシで出会った直翅類を貼ります。 最初の画像がフキバッタの仲間、次がクサヒバリの仲間で、最後はクダマキモドキなどの大型ツユムシかと思うのですが、詳しい方はいませんか? 蝶以外のblogが続いてしまいましたね。 次回はスラウェシ中北部の乾燥地帯に生息する蝶を登場させたいと思っています。 続きを見る(クサヒバリ ? ・ クダマキモドキ???) ▲ ツノゼミ (12月26日, スラウェシ中北部・Boboにて) ブルメイアゲハを求めて谷間を上り下りしていたら、斜面に生えた灌木の茎についたツノゼミの小集団をみつけました。立派な角の成虫2匹と、甲冑をまとったような幼虫4匹、そしてこれらが排泄する甘露にまとわりつくアリたち。右端にいるアリの腹部は、ツノゼミからもらった甘露ではちきれそうなくらい膨れています。 左側の黒っぽい成虫は羽化後まもない未熟個体で、まだ角がフニャフニャでした。斑紋の明瞭な右の成虫は成熟個体で、足下に何やら白い塊が見えます。不勉強な私は白い塊の正体を知らなかったのですが、なんとツノゼミの卵なのだそうです。 続きの画像を見る(卵を守るツノゼミ・材木を運ぶ牛) ▲ 路傍で簡単にみつかったセレベスヒラタ (12月27日, スラウェシ中北部・BiriMaru-LomPio間の路傍にて) 連日チョウばかりでは物足りないので、案内人のMr.ラムリーにお願いしてクワガタのいる場所に連れていってもらいました。 軟弱な日本人でも観察できるような場所を選んで案内してくれたようで、車道のすぐそば、それも目の高さで巨大なセレベスヒラタを見ることができました。 この木の名前は何かとたずねたところ、ある人はボラの木だと言い、別の人はダダップの木だと言います。 日本のヒラタクワガタはちょっとの刺激で素早くウロに隠れるのに、セレベスヒラタは無反応。力に自信があるからなのか、それとも鈍感なのか、カメラを近づけても隠れようとしないのが意外でした。 続きの画像を見る(クワガタ遠景・バナナ売り) ▲ 妙な斑紋のシジミチョウ (12月29日, スラウェシ南部・Bantimurung) 「蝶の谷」でみつけた可愛らしい顔のシジミチョウ。 沖縄で昔見たタイワンクロボシシジミMegisba malaya に似ていると思いながら近づくと、翅形や顔つきはタイワンクロボシそっくりなのに、小黒斑の数が多過ぎます。当初はシミかと疑ったのですが、間違いなく斑紋です。スラウェシならば別種のMegisba属がいても不思議でないと思いながら、広角をきかせて撮影。お気に入りの1枚が撮れました。 帰国後にMegisba属のことを調べたところ、スラウェシはタイワンクロボシ1種とのこと。画像の個体は、小黒斑が過剰に出現したタイワンクロボシシジミの斑紋異常とみるのが妥当なようです。 ▲ 吸水中のザリンダベニシロチョウ 「何だコノヤロー」という感じで牛が近寄ってきた。 牛の横を舞うウスキシロチョウがわかるだろうか。 (12月31日, スラウェシ南部・Bantimurungにて) 受験生ze_phが、センター試験を終えて帰宅しました。 直前に体調を崩して入院となり、一時は受験できるかどうかさえ危惧されたので、無事に終わってホッしています。 さて、今回はザリンダベニシロチョウAppias zarinda。 ウォーレスが1869年に著わした「マレー諸島」には、スラウェシ島に生息する蝶の多くが他地域のものより大型化し、前翅先端が強く張り出すと述べられています。 その現象の好例として同書に掲げられた蝶の一つが本種で、代置関係にあるベニシロチョウAppias neroとは大きさや翅型のほかに翅脈が黒くならない点などが異なります。 続きを読む(飛び立つザリンダベニシロ) ▲ 雨雲の下を舞うブランカルディオオゴマダラ 中央奥に牛と子供たち、右奥には甲虫を撮影している神垣さんと淀江さんが写り込んだ。 (12月31日, スラウェシ南部・Bantimurungにて) ブランカルディオオゴマダラIdea blanchardiiは、沖縄にもいるオオゴマダラ Idea leuconoeのスラウェシにおける代置種です。 かなり個性的なチョウなので近づいて撮影してみたかったのですが、曇天のなかの飛翔写真が撮れただけ。 しかたがないので、案内人の方が採集した個体の「手のひら写真」も貼っておきます。 ▲ 案内人の方が採集したブランカルディオオゴマダラ (12月27日, スラウェシ中北部・LomPioにて) ▲ 雨あがりの優しいひととき。 子供たちを撮影する神垣さんと、しゃがんで話しかける淀江さん、雲ゆきを気にして空を見上げる三木さん。薄日がさして、子供たちの姿が水たまりにうつっていた。 (12月31日, スラウェシ南部・Bantimurungにて) ▲ 豪雨の中のバナナ売り。 代金を受け取るときの味わい深い表情にハッとしてシャッターをきった。 このとき買ったバナナは「揚げバナナ」となって食卓へ。 (12月30日・Bantimurung) スラウェシ南部では、本当に雨に泣かされました。 それも、かつて経験したことがないほどの豪雨です。 とんでもない降りっぷりだなぁと思いはしたのですが、旅客機が消息を絶ったことや洪水、フェリー沈没といった災害が続いていたことを知ったのは帰国後のことでした。 ▲ 豪雨。売店は休業 (12月30日・Bantimurung) ▲ 豪雨の翌日、道路は冠水していた (2006年12月31日・スラウェシ南部 Makassar にて) ▲ メナドヒメワモン (12月31日, スラウェシ南部・Bantimurung 「蝶の谷」にて) 1850年代にウォーレスが訪れたことで有名なBantimurungの「蝶の谷」は、自然保護区となって現在も健在です。ただし、保護区だというのに歩道は赤や緑にペイントされ、谷の前には出店や遊具の数々・・・・・・多くの家族連れで賑わう一大観光地といった方がよさそうです。 こんなに人が多いと写真にならないなぁと思いながら歩いていると、観光客が落とした果物の破片にまとわりつく新鮮なワモンチョウ類が視界に入りました。背景には風船を持ってくつろぐ家族連れ。観光地と化した「蝶の谷」ではありますが、島民の余暇風景に蝶を重ねた写真を撮るには適地なのかもしれません。 ちなみにこの蝶、あとで調べたらスラウェシならびに近隣の小島嶼だけに生息するメナドヒメワモン Faunis menado とのことで、この地域の固有種というオマケまでつきました。 ▲ 「蝶の谷」下流側。 一見うっそうとしているが、よく見ると中央奥や右奥の林内には人工物が写っている。 (12月29日, 同上) ▲ 「蝶の谷」の入り口付近に軒をつらねる売店 (12月31日, 同上) ▲ スラウェシ島の固有種ブルメイアゲハ。前後翅を縦走する緑色帯と、青く輝く尾状突起が美しい。青いブーツを履いた貴夫人といったところだろう。 (2006年12月26日・スラウェシ中北部Boboにて) インドネシア紀行の2回目は、スラウェシ島の固有種ブルメイアゲハ(Papilio blumei)です。オオオビクジャクアゲハなる和名もあるようですが、この蝶にはブルメイの呼称の方が似合うと思います。 前回のアオネアゲハが低地性なのに対してブルメイは山地性。両種は日本のカラスアゲハとミヤマカラスアゲハのような関係なのかも知れません。 アオネアゲハは各地でたくさん見ましたが、ブルメイには苦戦。多産地だったというパロロはカカオで栄える村になった頃から激減したとのことでみつからず、さらに車で40分ほど移動したBoboというところで渓畔を舞う1♂にようやく出会いました。その1♂を渓谷上の小道からズームアップして撮影したのが今回の画像です。ひと目でも見たいと思っていた憧れの蝶なので撮れてくれただけで大満足・・・と言いたいところなのですが、もっと近づいて撮りたかったというのが本音です。 ▲ 飛び立つブルメイアゲハ(同上) ▲ 中北部の高地に位置するパロロ村。子供たちの背後に見える道が未舗装だった頃はブルメイが多産することで有名だったが、カカオ栽培の適地ということで人と畑が増大し、道が舗装された頃から急激にブルメイは減少したという。 ▲ カカオの花と結実初期の実。幹から直に生える。 ▲ パロロ村周辺の森林。手前の低木層はカカオ畑。 ▲ 吸水中のアオネアゲハを広角で。一緒にミロンタイマイまで撮れてしまった。 (2006年12月29日, スラウェシ南部Bantimurungにて) あけましておめでとうございます 12月22日のblogで「緯度ゼロ地帯へ旅立ちます」と書いて以来しばらく御無沙汰していましたが、先日無事に帰還しました。 今回訪れたのはスラウェシ島。赤道直下、インドネシアのほぼ中央に位置するK字型の大きな島です。植民地時代の呼称であるセレベス(英語: Celebes)の方が発音しやすくて好きなのですが、インドネシア独立後はスラウェシ(インドネシア語: Sulawesi)と呼ぶのが一般的とのこと。 青森から東京、デンパサール、ウジャンパンダン、パルと4度にわたって飛行機を乗り継いで南緯約1度に位置するスラウェシ中北部へと向かったのですが、機体故障関連の遅れで2度も足ドメをくらいました。このため目的地であるパル空港に到着したのは12月24日の夜で、初めて蝶にカメラを向けたのは12月25日。なんと出発から4日目のことでした。 とはいえ年末年始のインドネシアでは、フェリーの沈没や洪水、アダム・エアの旅客機が消息を絶つなどの不運が相次いだとのこと。機体故障による遅れなんて些細なものでしょう。 さて、インドネシア紀行の初回はアオネアゲハ(Papilio peranthus)です。日本に生息するカラスアゲハやミヤマカラスアゲハと同じアキリデス種群(Achillides)の一員で、スラウェシ島のものは特異な亜種insulicolaとされています。今回は中北部のBiroMaruと、南部のBantimurungで撮影することができました。 ▲ アオネアゲハの飛翔(12月29日,Bantimurung) ▲ 同上 ▲ 同上 ▲ こちらは中北部のアオネアゲハ。翅間からのぞく青色光沢が美しい(12月25日,BiroMaru)。 |