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▲竜飛岬を舞うゴマシジミ(息子撮影) 久々に竜飛岬のゴマシジミを見てきました。 ここのゴマシジミは個体数が少ない上に生息斜面が急峻なので、撮影可能な距離に近づけるかどうか不安だったのですが、今回は多数の画像を撮ることができました。 竜飛のゴマシジミといえば斑紋が特化していることで有名ですが、1999年にはミトコンドリアDNAのND5でも青森県内の他産地と異なることが判明(工藤1999 : アリとの間に特殊な関係を持つシジミチョウ類の生態考察.第8回東北インセクトフォーラム宮城大会記念号.11-13. )。特異な存在であることが再認識されています。 ▲100mの断崖絶壁上にある草付きで交尾をしていたゴマシジミ。広角で撮ると、はるか下の海岸線だけでなく津軽海峡の潮流までもが写り込む。竜飛付近の潮流は白波がたつほど激しい。(息子撮影) ▲1. 交尾個体(左♀、右♂で、♂は後翅にある黒点の一部が細長く融合した斑紋異常個体) 2. 交尾♀の前に別の♂が飛来 3. 飛来♂は交尾♂に向き合い、6脚をふんばりながら翅をはばたかせて威嚇? 4. 飛来♂の威嚇?で、交尾♂は♀と交尾したまま葉の下側へ移動した ▲飛翔中のゴマシジミ♀。外縁黒帯が黒点列にまで到達し、特異な斑紋となる。(息子撮影) ▲飛翔中のゴマシジミ♀(息子撮影) すぐ下は断崖絶壁ですこぶる危険なのに、この写真を撮るために息子は崖の縁を走りまわった。危なすぎて怒鳴らずにはいられない。 ▲飛翔中のゴマシジミ♂。翅脈に沿って黒色鱗粉が内側に侵入する外縁黒帯と、丸みのある黒点列がオスの特徴。(息子撮影) ▲飛翔中のゴマシジミ♂。(息子撮影) ▲岬の断崖上で産卵中のゴマシジミ。彼方にうっすらと北海道が見える。 by ze_ph | 2006-08-13 01:06 | Comments(5)
Commented by 蝶山人 at 2006-08-14 10:10 x 写真最高です。命懸けの雰囲気が伝わってきます。数年前もう少し早い時期に同じ場所で多数のカバイロに出会い感動しました。 ゴマの斑紋が体細胞somaticあるいはchromosomal DNAでなくmitochondrial DNAに関係することは初めて知りました。これは他の蝶も含めて一般的なことなのですか? 話し変わって奥入瀬のオオゴマはいつごろですか? 一枚目、ゴマシジミがモスラみたいですね!お写真どれも最上のものですが、どれだけ危ない場所かというのもよく分かります。ze_phさん、くれぐれもお気をつけてくださいね。 Commented by fanseab at 2006-08-14 21:26 なんと言っても、一枚目の画像にただ唖然です。紺碧の海と、漁船の航跡をバックに飛翔とは!崖地、それも北の台地だから撮影できる組合せでしょうが、どうかご自愛を。 Commented by Celastrina at 2006-08-15 00:37 x 蝶山人さん 確かに断崖となっているこの場所は、7月下旬だとカバイロシジミがよいですね。今回この場所でカバイロシジミを見ることはできませんでしたが、別の場所の画像を近々お披露目したいと思っています。 お問い合わせの「奥入瀬のオオゴマ」ですが、十和田湖東部の奥入瀬渓流(おいらせけいりゅう)のことでしょうか。たしかに十和田湖周辺はオオゴマの分布圏て゜、十和田湖北畔の御鼻部山から1950年代に数個体が記録されています。奥入瀬そのものの文献記録は記憶にありませんが、分布していても不思議でないので私が知らないだけかもしれません。同じく「おいらせ」と読む白神山地の追良瀬であれば十和田湖畔よりは記録が多く、例年は8月上旬がピークとのこと。 それからmt-DNAですが、斑紋に直接関係しているというよりも、周辺個体群との相違を客観性をもって評価するための一資料と捉えるようにしています。 Commented by Celastrina at 2006-08-15 01:10 x まささん fanseabさん
あんな場所で飛翔写真をねらう息子の「恐いもの知らず」が心配です。でも、正直に暴露すると、私も30年前にこの場所を駆け回り、同行していた先輩虫屋から注意されました。あれは昭和50年、息子と同じ高校3年の夏のことでした。
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