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▲ヒメシロチョウ春型。触角や口吻を動かし求愛する♂と翅を開いて交尾拒否する♀。(PENTAX *ist DS2 + SIGMA 105mm MACRO) 今日は天気予報があまり良くなかったので外に出れないと思っていたのですが、昼頃から急に晴れ上がり、急遽ヒメシロチョウを見に行くことに。 昨日は曇っていて動的な写真は撮れなかったのですが、今日はお見合いする求愛行動から交尾拒否、産卵まで観察することが出来ました。 求愛行動の写真を撮影していて気が付いたのですが、ヒメシロチョウの♂は求愛する際に触角だけではなく口吻まで伸ばして動かしているようです。画像で詳しく分析してみたところ、追飛行動の時点で既に♂の口吻は伸びていました。相手が同種の♀なのか確認するための行動なのでしょうか。分からないことが多いですが、興味深い行動です。 ▲ヒメシロチョウ♂の飛翔(PENTAX *ist DS + PENTAX 18-55mm) ▲ヒメシロチョウ♂。この発生地は休耕田で、周囲には水田や畑が広がっている。(PENTAX *ist DS + PENTAX 18-55mm) ▲ツルフジバカマに産卵するヒメシロチョウ。腹部をこれでもかというほど曲げる。(PENTAX *ist DS2 + SIGMA 105mm MACRO) by ze_ph | 2006-05-14 19:12 | Comments(7)
Commented by ねなし=ナガハタヨシユキ at 2006-05-15 00:02 x こうした行動の観察は貴重ですね。カメラの技術の進歩の賜でしょう。その一方で、いつも気にかかっていることがあります。それは、信州の浜栄一さんが書かれる、「自分の目で物を見ること」という一言です。浜さんは、こういう場面で必ず「対象を凝視し、その行動を網膜に焼き付ける」のだそうです。あの方の多数のすばらしいスケッチは、いずれも残像から起こしたものだそうです。私は高校生の頃、ずいぶんそれを真似しようとしましたが、結局はできませんでした。残像能力というのは個人差があります。でも、浜さんが言われたのは絵の巧拙でなく、「機械に頼らずに”自分の目で見て理解する”ことの大切さ」だったのだと、切に思います。私はそういう意味では、浜さんに大きな影響を受けて、「諏訪の冬季採卵派の流れを汲んだ人間」でありたいと努めてきました。 Commented by つづき=ナガハタヨシユキ at 2006-05-15 00:03 x 特に、このごろ小学校の総合学習の指導に出る場面が増えると、スケッチの代わりにデジカメを持たせる先生が増えてきています。私が担当する授業では絶対にデジカメは使わせずにスケッチさせますが、「自分の目で物を見る能力」というのは機械の進歩と共に退化するのだ、ということを実感する場面が本当に多いです。 もちろん、人によって流儀は様々ですね。私が弘前大学に(採集旅行の途中に)居候していたときに面倒をみてくれたカルガモの研究者のAさん(お父さんがよくご存知と思います)は長崎の江島正郎さんの教え子で、中学生の頃にはずいぶんテープレコーダーを持って、チョウの行動を実況で記録したものだと語ってくれたものです。 写真を見ながら、そんなことをとりとめもなく思い起こしていました。 (いちどに長文は無理なんですね、2回に分けました) Commented by さいごに=ナガハタヨシユキ at 2006-05-15 00:10 x そこで、デジカメを使いながらも、Ze_phさんにはもうひとつ別の方法でも・・・それは、筆記でも、音声でも、いや、もっと別の何かでも・・・記録しながら新しい生態観察の次元を切り開いてほしいなと、そう思ったのです。皆がデジカメで撮った画像を「こんな瞬間見ました」と残していけば、収集がつかなくなります。このWebにはその先の方向性を感じたのです。とりとめなくなりました、3回になっちゃいましたが応援まで。 Commented by maeda at 2006-05-15 08:22 x 休耕田での発生ですか。 青森の自然も豊かそうですね。 北海道に似た雰囲気があります。 Commented by ze_ph at 2006-05-15 18:54 ナガハタさん 確かに「自分の目で見ること」は大切ですね。ファインダーを覗いてばかりいても然り、網を持って走り回ってばかりいても然り、よく見ないことには本当の生態行動は観察できないのではないかと思います。また、映像や文章などでは上手く伝わらないような、直に見た人にしか理解できない感覚だって沢山有ります。例えば、北国の春の白いゴマダラチョウの♀なんかは、実際に飛んでいるところを見ると本当にシロチョウに似て見えるのですが、採集したり写真に撮ったりしてみると全く似ていません。数字や絵では何の証明もできません。しかし、こういうものは、媒介を何もはさまず自分の目で見たときに受けるイメージが何より重要なのではないかと思います。 Commented by ze_ph at 2006-05-15 18:55 続き-------- 現代の生物研究では何より「数字」が重視されていますが、そんなものは理論的なようでいて実際はそうでもないのではないか?と考える人も出てきているようです。極端な話、仮説を正しいと証明するために数値化したのでは、そもそも考え方に偏りが出てきます。学校で教えられる生物の授業なんかも、生ある物を相手にしているとは感じられないような気がします。それに対し、「自分の目で見る能力」を持った研究者や観察者の感じるイメージは、漠然としたものですが根本を掴んでいるのではないでしょうか。 ナガハタさんの仰るように、そろそろ昆虫業界も変わらなくてはならないのかもしれません。今までの方法にばかり固執して機械の進化を待つばかりではなく、生態観察もその他の分野も、新しい考え方をとりこんでいく必要性があるのでしょう。自分たちも試行錯誤していかねばなりません。 ナガハタさん、わざわざ長文ありがとうございました。 Commented by ze_ph at 2006-05-15 18:59 maedaさん
このようなヒメシロの発生地と出会ったのは初めてですが、最近では青森市郊外の里山環境の豊かさに驚いています。 僕たちの住んでいる弘前市の周辺は一見良い環境も残っているように見えるのですが、リンゴ栽培のための膨大な農薬散布や畑開発の歴史が長く、昆虫層は貧相です。弘前市の周りも、かつてはこんな環境だったのかと思うと、なんとも悔しいものです。
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