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▲ ミズナラの分岐部に産み付けられたミズイロオナガシジミ卵。真上から見ても真円形ではなく楕円形なのが本種卵の特徴。 (息子撮影) ゼフィルス越冬卵シリーズの第二弾はミズイロオナガシジミです。長径約0.9mm、短径約0.8mmの楕円形で、ゼフィルス卵としては突起数が少ないために、肉眼でも突起の存在が分かります。 それから、続きの画像にはオナガシジミ卵の別バージョンを貼りました。こうして再びオナガシジミを貼った理由は、卵と枝との接触面を見てほしかったから。どの卵の下面にも水性ボンドが固まったような半透明物質が写っています。 これは母蝶が産卵時に分泌した貼付物質ではないかと考えました。オナガシジミの場合、卵を産みつけるオニグルミの枝面は毛のせいで貼り付けにくいため、産卵前に多量の貼付物質を分泌して卵座とし、その上に卵を産み付けるのではないでしょうか。こんなことは既に判明しているはずだと思いつついくつかの文献を調べ直してみたのですが、意外にも卵座について書かれたものは見当たりませんでした。 ちなみにミズイロオナガ卵が産みつけられたミズナラは枝面が平滑なので、見直してみても目立った貼付物質は見えません。もちろん、目立たない程度の量の貼付物質は卵と枝面との間にあるはずです。 ▲ こちらはオニグルミに産み付けられたオナガシジミ卵。卵と枝との接触面に卵座とみられる半透明物質が写っている。 (息子撮影) ▲ 背側面から撮ったオナガシジミ卵。卵座の状態がよく分かる。 (同上) by ze_ph | 2006-11-23 14:27 | Comments(9)
これは素晴らしい写真ですね。 それに貼付物質による卵座・・なるほど、なるほど。 冬の間も落ちないためには当然何かでくっついているとは思っていましたが、このように具体的に見せていただけると納得しますね。 Commented by fanseab at 2006-11-23 20:48 アカシジミが産卵後にゴミを卵に被せる習性があるようですが、彼女達も同様な接着剤物質を塗布してからゴミを被せるのでしょうか?またオナガの場合、孵化後の初令幼虫が卵殻以外にこの貼付物質を最初の栄養源として摂取するか?も重要な観察ポイントだと思います。 Commented by えいきち at 2006-11-24 09:58 x オナガシジミの卵、本当に美しいです。 まるでガラス細工か雪の結晶のよう。 どうもありがとうございました。 Commented by maeda@仕事 at 2006-11-24 17:31 x どの種もある程度は粘着させていると思われます。 なぜなら卵を少々擦っても剥がれ落ちませんので。 オナガシジミの卵はほとんど見たことがなかったので、貼り付け物質らしきものには気づきませんでした。拡大撮影するとこんなことが分かるんですね。これは素晴らしいものを見せていただきました。 Commented by ryochan_ex at 2006-11-25 22:04 この冬はどうして過ごそうかと考えていたのですが、こういう楽しみ方もあるんですね。私はまだ、蝶の卵見つけたことがないので、この冬はとりあえず見つけることを目標にしたいと思います。それにしても、屋外でこれだけシャープに、どういう機材で撮影されているのでしょう? よろしければお教えくだされば幸いです。 Commented by Celastrina at 2006-11-27 00:37 x ウラゴマダラシジミやアカシジミ属は、産卵時に付属腺から粘着性分泌液が分泌されるそうです。ウラゴマダラシジミの卵が赤褐色を帯びているのは、この分泌液が濃赤褐色だからとのことで、アカシジミ属の場合は分泌物の色が目立ちませんが、これに粘性があるうちにゴミを付着させることが分かっています。 とはいえオナガシジミの場合は、卵全体ではなく枝側に広い卵座ができていることが特異です。卵を産み出す前に分泌物を出しているからこうなっているのだと思うのですが、産卵行動を詳細に観察しないと確定できません。 なお、撮影機材については下の記事のコメント内に述べてあります。これまで息子は私が昔使っていた100ミリマクロを改造していたのですが、つい先日中古の200ミリ望遠を購入し、さらなる改造をはじめたようです。 何度見ても本当に凄いですね! ブログ記事の中で勝手にリンクさせてもらっています(ペコ) Commented by Celastrina at 2006-11-30 01:49 x アブドゥさん
ブログ記事でのリンクありがとうございます。 そろそろ更新しなければ・・・・・・・
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