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▲オオモンシロチョウの追飛→交尾拒否。左下が♀、右上が♂。(PENTAX *ist DS + PENTAX 18-55mm) 青森県でオオモンシロチョウが発見されてから、今年でちょうど10年になります。元々ヨーロッパに分布していた蝶ですが、人為的にロシア東部に持ち込まれ、そこから日本にまで入ってきた・・・という経緯はご存知の方も多いかと思います。海外からやってきた大害虫として、一時期かなり大きく報道されました。北海道では在来種のモンシロチョウを脅かすほどに増えているようですが、青森ではそれほどでもありません。特に、日本海側ではまだ見たことがありません。どうやら、やませ(オホーツク海高気圧がもたらす冷湿な風)の影響を受ける地域でしか発生していないようなのです。 そういえば、どうしてオオモンシロチョウの分布拡大が青森県(及び岩手県の一部)で止まっているのでしょうか。これ以上南で発生できないとは、どうしても思えません。それに、オオモンシロチョウと言えば、ドーバー海峡を一晩で何百万という数で渡ってしまうこともあるという程の並外れた飛翔力をもつ蝶です。極端な話、数年で日本全国に分布を広げても、何の不思議もありません。それなのに、殆ど分布を広げないまま10年が経ちました。この蝶の動向は、どうしても腑に落ちません。 ▲オオモンシロチョウ♂。タンポポで吸蜜。(PENTAX *ist DS + PENTAX 18-55mm) ▲オオモンシロチョウ♂。里山の耕作地を飛ぶ。(PENTAX *ist DS + PENTAX 18-55mm + PLフィルター) ▲オオモンシロチョウ♂の飛翔(PENTAX *ist DS + PENTAX 18-55mm) by ze_ph | 2006-05-23 22:36 | Comments(5)
Commented by maeda at 2006-05-24 20:39 x あくまでも個人的な印象ですが、オオモンシロは湿気に強くないのかもしれません。ユーラシアでの分布を考えても乾燥したところがほとんどのようです。 北海道には梅雨がありませんし、やませは乾燥した風のように思います。 では岩手のやませが吹く地域にはどうして拡大していないのか、その辺は分かりません。 Commented by ze_ph at 2006-05-24 22:33 maedaさん 岩手のやませが吹く地域でも、少しですが見つかっているようです。 オオモンシロが湿気(というか蒸れ?)に弱いというのは、あるかもしれませんね。かといって、あれだけの飛翔力を持つにも関わらず、数十キロと離れていない地域では全く見られないというのは、ちょっと理解できません。 Commented by maeda at 2006-05-25 08:21 x 岩手まで侵出ですか。 こちらでは話題になる事も無いので知りませんでした。 Commented by fanseab at 2006-05-26 12:53 農薬耐性がモンシロより劣るため飛翔力が抜群なわりには拡大できないとかあるのでしょうか?岩手県側では、農薬散布が厳しいのでしょうか?また、国立がんセンターの杉村氏の研究では、幼虫から蛹に変態する際、ピエリシンなる蛋白質が合成されるが、この構造がモンシロとオオモンシロでは微妙に異なるとか報告がありました。寄生蠅類の羽化歩留に、これらキラー蛋白質が関与している可能性もあり、研究テーマとしても面白そうです。 Commented by ze_ph at 2006-05-26 17:57 fanseabさん
確かに農薬耐性はモンシロよりも弱いようですね。それに、青森県ではこれ以上分布を広げないようにと農薬散布にも力を入れたようです。しかし、野生種のアブラナ科植物はどこにでもあるので、農薬散布が分布拡大できない理由にはならないような気がします。
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