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▲ 深浦町で撮影したエルタテハ。スミナガシの探索中、シロスジカミキリに食害されて樹液の出たヤナギでみつかった。深浦をはじめとした白神山地北西部にはエルタテハの記録がなく、この画像は同地域初となる。 青森のエルタテハは、なかなかの珍品です。成虫記録は9割以上が八甲田山の標高700~900m地帯に集中しているのですが、この地域でさえ一日いっぱい探して1匹みつかれば運が良いほど。もちろん八甲田以外の場所にはごくごく僅かな記録しかありません。ここでの食餌植物は、亜高山環境に自生するカンバ類と考えられますが、あまりに少ない蝶なので幼生期に関する知見は皆無です。 ところが今年は、八甲田以外の数カ所でエルタテハの新成虫に出会いました。どの場所も標高は数十メートル。カンバ類ではなくハルニレが多い環境です。 本州のエルタテハにはハルニレでの確実な発生記録がないようですが、北海道ではカンバ類のほかにハルニレでも発生するとのこと。青森にも、低標高地のハルニレで発生するエルタテハがいるのでは。 ▲ アリマキを訪れたクロヤマアリ(9月・岩木山にて息子撮影・自作レンズ使用) ▲ ダケカンバの樹液を訪れたキベリタテハを広角で(9月・八甲田にて) ▲ 日光浴中のキベリタテハを広角で(9月・八甲田にて) ▲ オオルリボシヤンマのホバリング(9月・岩木山にて息子撮影) 8月に載せそこなったジャノメ類の画像を以下に貼っておきます。 ▲ 樹液から飛び立ったオオヒカゲ。シロスジカミキリの食害によって樹液の出たヤマハンノキにいたもの(8月・深浦にて) ▲ ヤマハンノキから飛び立って草むらに静止したオオヒカゲ(8月・深浦にて) ▲ クロヒカゲの交尾(8月・深浦にて息子撮影) ▲ ヒメジャノメ(8月・青森市にて) by ze_ph | 2006-09-17 00:52 | Comments(5)
Commented by fanseab at 2006-09-17 23:25 下から3枚目のオオヒカゲの画像、裏面最外縁部にある暗色条紋が連続して拡散し、暗色帯のような出現パターンになっています。これは当地での特徴なのか?それとも全国的に見て、この程度は個体変異の範囲内なのでしょうか?ちょっと教えていただけると有難いです。 Commented by Noreen05 at 2006-09-18 06:23 エルタテハは職場の建物で越冬するようで、これからの時期とまだ雪が残る春早い時期からよく見かけます。 同じタテハ類でもクジャクやシータテハのように近所の林では出逢わず、身近な車庫などで出逢うことが多いです。 キベリの広角素晴らしい~♪ですね。 Commented by mtana2 at 2006-09-18 13:06 発記録のエルタテハとは素晴らしいです。 オオルリボシヤンマ、バッチリ撮れています。 美しいトンボですね。 Commented by Celastrina at 2006-09-19 07:12 x fanseabさん いつもながら鋭い御指摘ですね。確かにこのオオヒカゲ♀の外縁部は暗色帯のようで変っています。実をいうと、当HPのPhotoページ(../../photo/tateha/07/index.html)に掲載した♂の外縁部も暗色帯を呈していて、これもまた深浦のものです。ただし、深浦とは言っても今回の撮影地点からは8キロほども離れていますし、撮影したのは2002年のことです。ちなみに同ページに掲載された♀の斑紋は正常で、そちらは2004年に青森市郊外で撮影したものです。 深浦のオオヒカゲの裏面外縁が全て暗色帯を呈するとは考えにくいのですが、画像として掲載した1♂1♀がどちらも同様の斑紋傾向であることに驚いています。調べ直してみなくてはいけませんね。 Commented by Celastrina at 2006-09-19 07:16 x Noreen05さん mtana2さん
青森でエルタテハを撮るのは本当に厳しいです。北海道では普通種なのに、どうして青森ではかくも少ないのでしょう。 30年ほど前、日高の神威岳へ登った時に、おびただしい数のエルタテハに会いました。さすが北海道とは思ったものの、青森でエルを探すことの空しさを痛感したものです。
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